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Ryo Ito

ハワイのアーティストにインタビュー! vol.4/アレクシス・カゲヤマ(Alexis Kageyama)『アレクシスが版画アートに込める想いとは?』

更新日:2023年3月21日


Mohopilo Lava Rock Beach Cove Linocut Print © East Wind Print Co.


今回の記事では、「版画」の作品を得意とするマウイ島在住のアーティスト、Alexis Kageyama(アレクシス・カゲヤマ)をご紹介します。



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■Alexis Kageyama(アレクシス・カゲヤマ)

主宰するEast Wind Print Co. にて、自身が愛する自然世界にインスパイアされた版画アートを制作。原画スケッチから版づくり、印刷まで、その全ての工程をハンドメイドで行っている。


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手先の器用さや集中力、忍耐力などを多く求められる「版画」制作を専門にする、アレクシスのようなアーティストはハワイでは珍しいかもしれません。


そんな希少性や、素朴ながらも繊細な作品の美しさにこころ魅かれ、インタビューであれこれとお話を伺いました。



アロハ・セイルズ ハワイ(以下、アロハ):

あなた自身は、いま活動の拠点にしているマウイ島で生まれ育ったの?


アレクシス・カゲヤマ(以下、アレクシス):

いいえ、違うの。サンフランシスコ(カリフォルニア州)のベイエリア出身なんだけれど、2017年に校での園芸コーディネーターの仕事をリモートワークで始めたのね。そして、その年の8月にマウイに移住して以来、ずっと暮らしているわ。


© East Wind Print Co.


アロハ:

作品のモチーフになっているハワイの自然があなたは大好きなんだよね? どんなところに魅力を感じているのかな? 


アレクシス:

移住前のカリフォルニア時代から自然には長く魅了されてきたの。カリフォルニア中を家族とキャンプ・や登山旅行をしながら育ったわ。そして、カレッジを卒業してからの数年間は、ナチュラリストという立場で、カリフォルニア東部にあるシエラ・ネバダ山系山脈に生息する動植物について子供たちに教える仕事をしていたのね。


ところが数年前、わたし自身のアートのトレーニングやクリエイティブなスキル磨き、そして自然史の勉強のどれもがすっかり滞ってしまっていることに気付いたの。

どれもわたしにとって人生最大レベルの情熱をかけられるものなのだけれども、当時は意味のあるやり方でこれらを探求できる機会をほとんど得られていなかったの。


だからわたしは、「これからは自分のクリエイティビティこそを第一優先にしよう」と心に決め、それを原動力にして(マウイ島に移住し、)ここハワイで自然の世界についての学びを深めようと考えたの。


わたしが作品で描いているハワイの自然物は、綿密な調査と丁寧な描写を通じてもっと学びたいという自分の純粋な好奇心から選ばれたものなのよ。


制作中のアレクシスの版画作品


アロハ:

なるほど、そんな経緯があったんだね。自然をアートで表現するには色々な手法があると思うけれど、「凸版印刷(版画)」というやり方を選んだのはなぜ?


アレクシス:

カレッジ時代の3年間に、ブック・アートと活版印刷(版画)について勉強したの。別の学位と並行して履修できるユニークなコースで、とにかく魅力的で豊かな学びの体験だった。そうして「版画」にすっかり夢中になってしまったわけ。


でも、カレッジを卒業後、この分野で活動を続けるには印刷工房を利用できないととても難しいことがわかった。あれこれ可能性を探ってはみたのだけれど、最終的にその道はあきらめ、一旦捨てることになってしまったの。


ところが、新型コロナウイルスのパンデミックが起きて趣味に没頭できる時間が増えた。


アロハ:

うん。それで、どうしたの?


アレクシス:

自作のアートを販売する小規模なハンドメイドビジネスをすることが長年の夢だったから、一度はあきらめた「版画」の世界に戻ってみようと決心したの。


アロハ:

実際に再開してみて、どうだった?


アレクシス:

自宅リビングにこもって、コーヒーテーブルに長い時間座り、リノリウムやゴムのブロックを彫って印刷するというのは、とても達成感がある体験だったわ。


そして最近、ラッキーなことに自分のアートワーク専用のスペースを自宅に持てるまでに制作環境をアップグレードできたの。今はまだスペースを整えている最中だけれど、クリエイティブな活動を一度断念してしまったところから、いまみたいに、ほぼ毎日アート制作ができるところまでやっと来ることができて、とてもハッピーで誇らしい気分よ!



© East Wind Print Co.


アロハ:

版画のプリントに使っている紙がどれも素敵だけど、何かこだわりはあるの?


アレクシス:

違う種類の用紙をいろいろと使っているけど、どの紙にも共通しているのは(紙を劣化させる成分でもある)酸や脂分(リグニン)不使用の紙であること。クワ・コウゾを原料に作られ、細長い繊維が模様のようにすき込まれた「ドラゴン・クラウズ(龍の雲)」という紙も時々使うけれど、この紙は仕上がりの見た目がとても素敵なのよ。


ドラゴン・クラウズと呼ばれる紙にプリントされた作品『Tiger Lily』 © East Wind Print Co.


アロハ:

そうして制作した作品の売り上げの一部をマウイ島の自然保護活動に寄付しているということだけど、詳しく教えてもらえる?


アレクシス:

自分のアート活動を、わたしたちのコミュニティーや大地(地球)にポジティブなインパクトを広げていく手段として活用することは、個人的にとても重要なことなの。アートを金銭的な寄付活動に活用することには意味があると本気で考えているわけ。


そこで、売り上げの10パーセントをマウイ島のいろいろな自然保護活動団体に寄付しているの。寄付先はそのつど変えているけれど、最近は、マウイ島西部の自然林と水系を守る活動をしている団体「Mauna Kahālāwai Watershed Partnership」

に寄付をすることが多いかな。


アロハ:

それは素晴らしいことだね!あなたの自然への深い愛が伝わってきたよ。最後に、今後の活動の予定を教えてもらえる?


アレクシス:

(2023年の)4月頃に向けて版画とグリーティングカードの新シリーズを、いま制作しているところ。現状は、アート以外にフルタイムで別の仕事(カメハメハスクール・マウイ校のĀina and Sustainability Engagement Instructor)をしているから、制作のための時間を作るのが本当に大変(笑)。


でも、わたしにとってこのプロジェクトは、オンラインでの小売り向けと卸売販売用のアイテムをアップデートするタイミングだし、ひとまとまりの作品を造り上げるためには私自身を追い込まないと完成しないのよ。新作発表をどうか楽しみに待っていてね。


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シンプルな線と色で表現されていながら、描かれた自然物がとても活き活きとリアルに感じられるアレクシスの版画。それは彼女が、心からの愛情と関心を込めてハワイの自然を丁寧に観察し、向き合っているからでしょう。現在制作中の新作にはどのような世界が新しく描き出されることになるのか、とても楽しみです。



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